COLUMN社長コラム

リアルタイム対戦型学習サービスでこどもの学習意欲を高める「学習プラットフォーム」を展開する
FLENS(フレンズ)株式会社の社長・大生隆洋のコラムです。
「タブレット × ネットワーク × 教育」で教育の新たな価値の創造に挑む、その想いを語っていきます。

AI的システムによる学習の効率化と探求型学習

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従来の学習に対して、探求型学習やアクティブ・ラーニング(※1)が今後の求められる学習スタイルだと言われています。アクティブ・ラーニングは、2012年の中央教育審議会の答申からよく使われるようになったようですが、現場の理解不足や指導技術が追いつかないなどの理由でややネガティブな印象が持たれてしまったので、「探求型学習」(※2)と再定義しているように思います。様々な論文や記事でも「探求型学習、いわゆるアクティブ・ラーニング」のような記述がみられます。

この「探求型学習」という言葉が、最近、AIシステム等による学習効率化の文脈で語られることが多くなっています。簡単に言えば、学校の教科書で学習している内容は、AI的なシステムを使って効率良く習得して、空いた時間で、今までできていなかった探求型学習をしよう、というコンセプトです。主に経済産業省とEduTechベンチャーが仕掛けている動きです。

学習効率をテクノロジーを活用して高め、教育の質を向上させようという動きは何の疑問もありません。むしろ強力に推進すべき流れです。

ただ、少しの違和感があります。学習塾の経営者や現場の先生方とこのテーマについて議論する中で、私の違和感の正体が分かったように思います。

子どもたちと日々向き合っている先生方は、単に教科書に載っている知識を教えているわけではない、単に問題が解けるようになることを目標に子ども達と接しているわけではないと思っています。日々の教科指導の中で、目標を設定する力、目標達成のために努力し続ける力、壁にぶつかったときにそれに立ち向かう力を育成し、また友達の考えや頑張りに刺激を受け自分の中で学習に対する動機付けを醸成させる環境を作っています。そういった教科指導や受験指導を通じて友達や家族や先生など周りの多くの人に支えられて自分が成長できていることを認識させたりしています。教科指導を通じて「生きる力」の習得を目指している自負が現場の先生にはあるように思います。

この教科指導をAI的なシステムに置き換えて、先生方は教科指導以外で「生きる力」を育ててくださいという考えは、例えば、野球の指導を通じて子ども達の「生きる力」を育成していると自負のある指導者に、「野球の技術はAIが教えるので、あなたは野球以外のこととで「生きる力」を育ててください」と言っているようにも聞こえます。

一方で、教科内容の増加や教育をサービス業として捉える保護者の増加により、現場への負担が増え、十分な指導ができない先生が多いという現実もあります。また、団塊の世代の退職に伴い、経験豊富な先生の減少も指導力低下の一因だと思います。こういったことを解決する方法に、当然テクノロジーを積極的に活用すべきだと思います。

しかし、例えば、数学の問題が解ける、さまざまな知識を理解するということを、ややもすると価値が低いこととして単にテクノロジーで効率化することが正しいアプローチかは慎重に考える必要があると思います。

私は、従来の学習と探求型学習はスタイルの違いであり、本質的は変わらないと考えています。従来の学習スタイルで「生きる力」の育成ができていた先生は、探求型学習スタイルで特に問題なく指導できると思います。課題は、従来の学習スタイルで単に知識を詰め込み、正解に子どもを導くことを指導してきた先生は、探求型学習スタイルで狙い通りの指導ができるのかという点にあり、私は不安を覚えます。

現在の課題をスタイルの問題と考え、教科指導を単にAI的なシステムで効率化することでは課題は解決しないように思います。私は、人類が蓄積してきた知識体系は、まさに探求型学習の集大成のように思えます。この人類の英知に興味を持ち、歴史を学ぶように知に問いかけ寄り添い、そして現実の社会で実践することを、もっと教育現場では大切にすべきだと思います。

現在低下している教科指導力をAI的なシステムで置換するだけでなく、教科学習そのものを輝かせるためのテクノロジー活用という文脈も力強く存在すべきだと思います。

※1 アクティブ・ラーニング……生涯にわたって学び続ける力、主体的に考える力を持った人材は、学生からみて受動的な教育の場では育成することができない。従来のような知識の伝達・注入を中心とした授業から、教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長する場を創り、学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である。

※2 探求型学習……与えられた課題に対して、生徒が情報収集、情報の整理・分析、結論のまとめとプレゼンテーションを自ら主体的に行うことで、課題解決に必要な思考力・判断力・表現力などを養う学習方法。情報収集では、教材や文献などの資料を用いるだけでなく、フィールドワーク(校外活動)や観察、実験なども行われる。文部科学省では、探究型学習を「自ら学び自ら考える力の育成」と定義し、従来の習得型の学習と合わせて、総合的な育成が必要である。

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